前回は今も元気に鉄道が走る、ひたちなか海浜鉄道を紹介しましたが、
今回は同じ茨城県で既に廃止されてしまった鹿島鉄道を取り上げましょう。

常磐線の土浦駅から3駅水戸寄りの石岡駅から、
霞ヶ浦をかすめながら鉾田駅までの27.2kmを結んでいました。
駅数は17ですが、途中で他路線と交差することもなく、水戸から鹿島を結んだ鹿島臨海鉄道の新鉾田駅と結ばれる事も無く、2007年3月末日で惜しまれつつも廃止してしまうのでした(悲)。

沿線や駅舎、そして車両。何もかもが昭和風情のローカル色が濃く、
とても魅力ある路線だったのです。

JR駅との共同運営の石岡駅。古びた跨線橋を渡り、階段を降りると、
ホームに鹿島鉄道専用の改札口がありました。
ここで1日フリー切符を購入して、列車に乗り込みます。

昭和のレトロ車両の見本市のような石岡駅に
隣接された鹿島鉄道の車両基地です。
この日は、廃線を惜しむレールファンがホームに溢れていました。

里山に溶け込むように設けられた単線に、
レールバスのような1両編成の列車がやってきます。

ここは借宿前駅。駅というより停車場といった言葉がしっくりきますね。
なんて質素で素敵な駅舎でしょうか!? まるで絵本の世界のようです。
周りには数軒の民家があるのみ。こんなのどかな里山集落に、
毎日定刻を知らせるように列車が走っていたのです。

時刻表は手書きです。
これも平成の時代とは思えないほどレトロ感が漂っていますね♪
ローカル線としては、1時間に1本程度は運行されていたので多い方ですね。
待ち時間に近くの里山を散策するには丁度いい運行感覚でした。

こちらは、常陸小川駅。始発・終着以外の唯一の有人駅です。
ベンチのレトロ感が良いですねぇ。

ホームの待合室には、鉄道存続を願う近隣学校の学生達の
応援寄せ書きがたくさんありました。

かつて貨物輸送で活躍していた、これまたレトロチックな機関車が
構内に置かれていました。
この広大な敷地や線路数から見ても、
最盛期の鹿島鉄道の利用価値の大きさを物語っていますね。

かつて、自衛隊の百里基地への燃料輸送に利用された機関車です。
路線廃止後に真っ先にクレーン車で解体される姿は
あまりにも寂しすぎました(悲)。

終点の鉾田駅に到着です。
乗降客別にホームが設けられています。

この日は、沿線の方が鉄道廃止を惜しんで地元物産展が
駅内で行われていました。
小さな二人の姉妹からは、鉄道が走っていた頃の記憶が
いつまで残っているでしょうか(悲)。

待合室には、昔風情の立ち食いそば屋がありました。

私はたいやきをおやつ代わりに頂きました♪
☆
もう、この鹿島鉄道は存在しません。
沿線学生の存続運動虚しく、廃止されてしまいました。
沿線に国道が走る事で、住民の存続活動は活性化しなかったようです。

皮肉なことに、廃止が決まってからは、乗客が増え、グッズの売上も伸びた事で黒字になったそうです。
日本の鉄道は、新幹線をはじめとする速さや豪華列車ばかりに注目が偏りがちです。それらの影で、これ以上日本の地図上から鉄道路線が消えない事を祈ります。
(2007年2月訪線)
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