今や変速するためのレバーはSTIをはじめとする手元シフトが当たり前。
それまで主流だったWレバーは、今やツーリング車の一部に残るのみ。
手元シフトは昔からあったものの、MTBの普及で一気に増えます。
そして、シマノのインデックスシステム・SISの発売で、
より手元シフトの優位性が広がっていき、現在のロードで主流となる
デュアルコントロールレバーがデュラエースグレードで登場。
これをカンパはエルゴパワーコントロールレバーで追従。
しかし、世界三大自転車コンポパーツメーカーの一つにまで成長していた、
サンツアーはこれに対応出来ずに低迷します。
何故サンツアーはこれら手元シフトに対抗馬を出せなかったのか!?
サンツアーはビンディングペダルでも遅れを取り、
販売戦略を失敗した過去がありました。
それと同じように手元シフトでも
カンパやシマノに遅れをとってしまったのです…。
☆
元々フリーや変速機といったシフト系を得意としてきたサンツアー。
手元シフトには早くから積極的に商品戦略を練って来ました
91年に最初のデュアルコントロールレバーのST-7400をシマノが販売。
しかし、その2年前の89年にサンツアーは、
手元シフト「コマンドシフター」を誕生させていたのです!!
リヤ側にアキューシフト(サンツアーのインデックスシステム)を搭載。
Wレバーに近いシンプル構造のため、耐久性も心配なし。
従来のブレーキレバー横に取り付けるため、追加投資も低く抑えられます。
写真のタイプは後期型(2型)ですが、価格は5060円。
シマノのデュアルコントロールレバーが5万円近い値段でしたから、
約10分の1の価格で購入することが出来たのです。
なのに、コマンドシフター、一部の玄人以外には受けずに売れ行き低迷…。
手元シフトの時代の先駆けだったはずが、シマノに返り討ちを受ける形に。
その理由、ハッキリと述べる事はできませんが、
私的な考えでは、販売戦略の失敗だと思っています。
サンツアーは、まだ製品に自身が無かったのか、
コマンドシフターの積極的な広告やアピールが少なかったのです。
グレード的にも、シュパーブプロ、スプリントに次ぐ第3のGPXにラインナップ。
シマノがデュアルコントロールレバーを
デュラエースグレードで販売開始とは対照的。
イメージ戦略的に、コマンドシフターはビキナー向けにしてしまったのです。
これがもっとトップレーサーに供給するような流れだったならば、
アマレーサーにまで浸透し、シマノやカンパへ巻き返しも出来たかもしれません。
コマンドシフターは、一部市販車に採用される事もありましたが、
ロードレーサーではなく、シクロクロス車やATB(オールテラインバイク)の
比較的ビキナー層が買い求めるモデルにのみ取り付けられる不遇な扱い。
94年のサイスポオールカタログを見ても、コマンドシフターの扱いはおまけ的。
きっとサンツアーもシマノやカンパタイプの手元シフトを開発していたはず。
しかし、時既に遅し…。
ビンディングペダルは他社からのOEM供給で賄えても、
手元シフトはそういかず。
サンツアーは旧来の変速システムから逃れられず、メーカーの光を閉ざします。
ドロップハンドルとWレバーの付いたサイクリング車に憧れた、
昭和40年前後生まれの自転車少年達。
今でもインデックスメカを嫌うベテランさんも多いです。
しかし、何故かこのWレバーチックな香りのするコマンドシフターが人気で、
オークションなどで高値取引されているのも不思議な感じがするのです。
■サンツアーコマンドシフター(2型・SL-CD02-R)■
アキューシフトプラス対応・重量186g・定価5060円
※写真のタイプは6・7段インデックス対応、他に8段対応もあります。
サンツアーは末期でも最大8段まででした。
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