●プロローグ 11年ぶりの林道へ
今年の紅葉は夏の猛暑の影響で短期間で葉が散ってしまうとのこと。福島県の会津や長野県の飯田を候補に挙げながらも、最終的には11年前に走った新潟・長野県境近くの林道姫川妙高線を走ることにした。
豪雪地帯なので林道は冬季閉鎖も含めて通行できる期間は短く、近年は自然災害による通行止めも多い。
今秋は林道姫川妙高線と今回は走らないが乙見山峠を越えて妙高高原に向かう林道妙高小谷線がセットで通行できることは珍しいとのことで、林道好きのドライバーやオートバイライダーにも注目されているようだ。
3連休の混雑を回避するために連休前日昼に出発。
10kmほどクルマを走らせたところでカメラを忘れている事に気がつきUターン。紅葉サイクリングにカメラがないのは致命的。1時間ほどロスタイムしてしまった。8氏スマヌ…。
圏央道から中央道に入り、マクラーレン追っかけなどしながら山梨県入り。八ヶ岳が見える頃に日没を迎えた。八ヶ岳も紅葉で赤く染まり始めているのが遠くからでも見て取れる。
本日は道の駅に向かうのみ。安曇野ICで高速を降り、信濃大町で晩御飯。3回目の利用となる「おおぎやラーメン」。ライスと漬物が食べ放題となっていた。配膳マシンで届く事を期待するも、厨房近くの席とあって、店員が運んできた。残念!!
今宵の寝ぐらとなる道の駅おたりには20時すぎに到着。明日に備えて早めの就寝……とはならずに、ベンチで乾杯となる。心地良くなった頃に姫川を挟んだ対岸をゴトゴト走る大糸線最終列車のキハ120が糸魚川に向けて走り抜けていった。
●国道148号の旧道はすでに廃道化が進む 葛葉峠を越えて平岩へ
翌朝は天気予報通りの晴天。季節外れの高温で日本海に近い北国ながらも予想最高気温は24度。着るものが悩ましい。ニッカーとグローブは薄手のものにする。上半身は薄着にウインドブレーカーだけ着込んで8時前に道の駅を出発。
まずは姫川に沿った国道148号を進む。この道は長大なトンネルだらけのバイパス的な道で走りにくいのが分かっているので、すぐに旧道へと入り込む。
新道には見られない石仏などが点在するため、度々足を止めて撮影タイム。
この辺りは千国街道=塩の道として昔から重要な道筋である。しかし、昔の道筋が深い姫川の谷を巻くように山坂が続くのに対して、現在の国道は次々と長大トンネルで深い山々を貫いている。
旧国道は、昔の塩の道同様に廃道化が進んでいた。
スノーシェッドが続く道は、いかにも豪雪地帯である。もう40年近く前だが、糸魚川から松本に向けて、この旧国道を走っているが、その時は道の険しさに対して、大型トラックが多く難儀した。
今や幹線道としての役目は終え、一部では野獣の駆除装置などの置き場とされていた。
一旦国道148号に戻り、國界橋を渡ると新潟県糸魚川市。今回は2日間に渡って長野県小谷村を走るのだが、ここから平岩までの区間だけは新潟県の食い込んだ部分を走る。長野県は海なし県とされるが、小谷村は直線距離だと10数キロ先に日本海が広がる地域だ。
国道の座を新道に譲り、県道に格下げされた道に入るが、こちらも落石が相次ぎ廃道の様相だ。
かつての国道とは思えぬほど荒れた道には、真新しい獣の糞尿がたくさん見られ、その中には熊のものと思われるモノも…。
かつてはドライバーの休息場所として賑わっていた葛葉峠も今は人の気配なし。40年前のサイクリングで立ち寄った峠のドライブインは亡骸となりつつも過去の面影を残していた。
千国街道・国道148号で唯一峠と名乗っていた葛葉峠からの眺望は昔と変わらず。
眼下に流れる姫川の両脇には険しい山が連なる。この地形から鉄道も車道も広大なトンネルを貫くしかなく、結果としてサイクリストにとっては寄り付き難い場所となる。
峠を下り切ると、そこは姫川温泉のある平岩駅。かつては駅員在中でそれなりに温泉客で賑わっていたのだが今は無人駅とされ、1日の利用者も5人以下と厳しい状況だ。
タイミング良く、数時間に1本の南小谷駅行きの大糸線単行列車がやってきた。
廃止も囁かれる大糸線の非電化区間(南小谷駅から糸魚川駅間)。この日は連休とあって糸魚川始発のキハ120には多くの乗客の姿があった。
●舗装化進む林道姫川妙高線は絶景の紅葉谷を望む
姫川に架かる古い木造の橋を渡り、姫川温泉へ。
再びここは長野県小谷村。鄙びた温泉街には観光客の姿はなく静まり返っていた。
道路脇の源泉から流れる湯の滝。足湯に浸かりたい気持ちを抑え、林道の入り口を目指す。
姫川温泉がこの辺り一帯では標高の一番低い谷底のような場所。必然的にそこから山筋に延びる道は勾配の厳しい上り坂となる。
標高250mの姫川温泉からピーク地点の湯峠(標高1283m)までは約17km。勾配15%を超えるような激坂はないものの、林道部分は総じて5~10%の坂が続く。
11年前に訪ねた時には子供達の姿が多数見られた大綱地区。閉校となった小学校分校は森林野外活動の拠点として再利用されていた。
それでも集落の最奥付近では、以前と同様に子供の遊ぶ声が聞かれ安堵した。今や山深い集落では高齢者ばかりが目立ち、子育て環境の家族のいる事自体が奇跡のようになりつつあるからだ。
大綱地区から林道姫川妙高線の入口に入る。ここから先は20数キロ先の小谷温泉まで人家は全くない。
フロントギヤを24Tに落とし、スローペースで上り詰める。
幸いなことに、この4年ほど膝痛に悩んでいたのだが、この夏あたりから痛みが薄れ、立ち漕ぎができるようになった。さらに30年近く乗り込んでいるパスハンターの大改修、特にフロントギヤのトリプル化が功をを奏した。11年前に登った時よりも今回はラクに感じられる。
紅葉に埋め尽くされた絶景の谷間を進んでいくと、次第に日本百名山の雨飾山が迫ってくる。
夏の猛暑を引きずるように、この時期の高山にも雪はなく、望遠レンズから覗く山頂にはたくさんの登山者の姿があった。
11年前には砂防ダムの管理道路分岐付近で舗装路が切れていたが、今回はその先にも比較的新しい舗装路が延びていた。しかし、沢を横切る部分には荒れた場所もあり、そこは担ぎや押して通ることに。
ただ、これも11年前とは違い、クルマやオートバイが時折走り過ぎて行く。道の舗装化が進んだことで一般車両も入りやすくなったのだろう。
谷底で見えることのなかった横川の沢筋を登りつめた標高900m付近の日当たりの良い場所でランチタイム。この辺りが紅葉のピーク地点でもあるようで気持ち良い中の食事となった。
食後は湯峠に向けて再スタート。これまで登りつめてきた谷筋や姫川温泉付近を眼下に望む。
この辺りも真新しい舗装路であり、このまま林道全てが舗装化されたと推測する。
しかし、その期待は裏切られた。
雨飾山の登山道入り口付近からは舗装が途切れて昔ながらの未舗装路となる。
走りやすい道なので問題なし。むしろ未舗装路が残されていたことはうれしい誤算だ。
14時過ぎ、林道のピーク地点となる湯峠(標高1283m)に到着。
ポツンと数体の古びた石仏のある峠路。11年前同様に峠からは唐突に舗装路が現れる。
大渚山の登山口を兼ねているため数台のクルマが停められていた。
峠で一休みした後は小谷温泉に向けての豪快な下り坂を楽しむ。
こちらは全てが綺麗な舗装路となり、クルマも少ないから安心して走れる。
昭和風情の温泉旅館の並ぶ小谷温泉。
11年前の道中では、この小谷温泉で1泊した後に乙見山峠を越えた。
今回はクルマのデポ地が寝ぐらとなるため、再び豪快な下り坂を進む。
秋のサイクリングでは、最後は夕暮れに迫られるように走ることが多いが、今回は行程的にも余裕があるため、最後まで紅葉にカメラを向けながらのんびり走ることが出来た。
〔2日目に続く〕
●本日のコース/走行距離54km(サイコン値)●
https://ridewithgps.com/routes/44767270
※林道姫川妙高線および乙見山峠に至る林道妙高小谷線は11月15日に積雪通行止めとなり、来年6月以降まで通行できません。
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コメント欄は2日目に設けさせていただきます。
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