趣味のサイクリング車向けではなく、国内製造市販車に採用されている普及品なイメージの栄輪業のパーツ。
ところが、日本の自転車産業が世界一に上り詰めていく1970年代に、趣味人、とくにマニア受けする製品を誕生させます。
それが栄ロイヤルシリーズ。
その中でも、特に有名なのは背伸びしてカンパを直接ライバルにしたかのようなチタン採用の軽量パーツのロイヤルESLシリーズ。

1978年の広告。
チェーンホイール、ステム、シートピラーにはチタンボルトやチタンBBを採用し、軽量化を誇示。
アルカンシェルカラーのシールが巻かれているのがお洒落です。
そんなロイヤルESLシリーズの誕生前に試験的!? に一部出回った軽量パーツがあります。
それが今回紹介するロイヤルSLシリーズ。
こちらは、まだチタン素材は使われずに、既存材質で作られながらも大胆な肉抜きを施すことで軽量化を図ったモデルです。
この芸術工芸品のような肉抜き。手間が掛けられています。
同様にステムにも大胆な肉抜きがされ、そちらは個人の手作業レベルな荒々しさがありました。
後のESLシリーズに繋がるヤグラ付近の肉抜き。強度不足とも思えるレベル。
ヨーロッパのプロレーサーに与えられていたカンパのカスタムパーツにも通ずるものがあります。
箱には素っ気なく手書きで書かれたSLの文字。
大量生産されていない品だからの措置なのかもしれませんね。
残念ながら、手持ちの資料では細かいデータの載ったパンフは見つかりませんでした。
ESLは1977年頃に発売されましたから、それ以前の製造だと思われます。
SLは実験的モデルでもあり、色んなカスタムバージョンがあったようです。
サンツアーやシマノなら熱心なファンもいたでしょうが、残念ながら栄輪業は地味な存在。
意欲的に発売されたESLシリーズすら、それほど人気は上がらず(高価すぎた!?)、ラインナップから消えていくのでした。
こちらは、ニューロイヤルESLのステム。
肉抜きは最低限になり、SLステムのような大胆で攻撃的なスタイルは消えてしまうのでした。
末期はSRサカエを名乗り、サンツアーと合併してSRサンツアーとなりますが、程なく消滅。
そのブランド名のみ今も台湾メーカーとして残っています。
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