今やフィルムカメラの存在すら珍しくなった時代。
ピント合わせや露出だってマニュアルで操り、
邪道と言いながらも絞り優先やシャッタースピード優先の優劣を語り合う。
昭和の頃のカメラ好きは女性が入り込み難く、特殊な趣味でした。

カメラメーカーは、誰でも気軽に使えるカメラを目指し、
露出の完全オートのプログラムモードを追加し、
次の一手としてピント合わせのオートフォーカス=AF化を進めます。
しかし小型モーター、省電力は二の次。
とにかく他社に先じて発表・発売する事が課題とされていた感もあります。
そんな時代にオリンパスが発売したのがOM30。
時は1980年代前半、この頃はどのメーカーも
AFレンズの開発が急務だったようです。

OMシリーズは一桁シリーズばかり注目され、
二桁シリーズビキナー向け的な扱いでしたが、
このOM30は現代のAFカメラに一歩近づいた特殊で実験的なカメラでした。

他社の同コンセプトのペンタックスME-F、キヤノンAL-1と同様に、
マニュアルフォーカスでピントが合うと合焦ランプが点灯される仕組み。
メーカー毎に呼び名は変わりますが、
一般に「フォーカスエイド」と呼ばれます。

オリンパス独自の仕様として、専用のMインフォーカストリガーコードと、
ワインダー・モードラを組み合わせる事で、
ピント合焦時に自動でシャッターが切れる
「ゼロインフォーカス」機能を搭載。
スポーツや動物写真家に一定の評価を得るも、
売れ行きには繋がらなかったようです。



AF機構をレンズに組み込んだZUIKO35-70mmAFレンズ。
今時の一眼デジタルのAFレンズと比べるのは酷なほどの大きさ。
レンズ駆動のために、単4電池3本を使用。
金属部品を多用しているので安っぽさはありません。
ただし、AFスピードは遅く、精度も低く被写体によっては迷いまくり…。
この時代のAFレンズはオリンパス以外のメーカーも含め、
全てがMFとしてピント合わせした方が速かったのです。

こちらはキヤノンのAFレンズ。
白レンズというところがキヤノンらしいですが、そのスタイルは……。
値段もLレンズ並みの高価格。この時代のAFレンズは定価9万前後でした。
AFレンズ創世記は、次世代モデルへと変わっていきます。
ニコンはプロ用モデルのF3AFを経てニコンF501を発売。

キヤノンは専用レンズ3本を揃えてT80を発売し、
オリンパスも同じく専用レンズシステム群のOM707を発売。
しかし、そんな野望もミノルタα7000の誕生で全てが吹き飛びます。
α7000はこれまでのミノルタ一眼システムを全て捨てて新設計。
他社は旧システムとの互換に拘ったため
中途半端なAF機しか出せなかったのです。
α7000から遅れる事数年。
ようやく他社もミノルタαシリーズに対抗できるカメラを発売します。

ペンタックスSF-Xはペンタ部に内蔵ストロボを取付けた革新デザイン。
キヤノンは新システムのEFマウントとEOSシリーズ。
ようやく、ミノルタに追いついた瞬間なのでした。
コンタックスを吸収した京セラも230AFで市場に参入します。
しかし、メーカー体力の違いか、オリンパスはOM707の販売不振で、
AF一眼レフカメラ事業から撤退していくのでした。
オールドオリンパスファンからも見捨てられたようなOM30。
しかし、自身には特別な思い入れのあったカメラでした。
【OLYMPUS OM30】1982年11月発売
●露出制御/マニュアル・絞り優先AE●TTL中央重点平均測光●フォーカスエイド機能搭載●シャッタースピード/B・1秒~1/1000秒・X同調1/60秒●露出補正/+-2EV●フィルム巻き上げ/手動レバーにて●電子制御フォーカルプレーンシャッター●重さ/430g●定価62,500円
●ZUIKO AUTOZOOM 35-70mm F4 AF 定価87,000円
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